MR.ITOのやっつけ仕事

Between facts and delusions

僕はここにいるよ

こんにちは、伊藤です。

伊藤といったらハム。

ハムと言ったらお歳暮ですよね。

いや、僕はハム作ってませんけど。

あっ、逆にそういう設定の方がよければ作りますけど。

別所哲也が「僕でもこんなの食べたことないよ」っていうぐらい美味しいやつ作りますけど。

そしたら僕と結婚してくれます?

 

と、2018年一発目の「無茶ぶり初め」も終わったところで、

2017年もめでたく独身を貫いてしまいました。

 

いや〜、貫いたね。すっごい貫いた。

流鏑馬だったら拍手喝采がわき起こるぐらい貫いてる。

正直、貫きすぎて自分でもびっくりしてる。

紀貫之が男だって知ったときぐらいびっくりしてる。

プラスして小野妹子が(以下略)

 

そんな、哲也と貫之と妹子もびっくりな、お歳暮シーズンを駆け抜け、

年末年始は実家で過ごす予定だったのですが。

 

どうもクリスマス前から喉が痛い。

そう、風邪。

あっ、話変わりますけど、

風邪というと「風邪っていう病気はない」とかいう人いますよね。

正直さ。だからなんだと。

風邪じゃなかったらなんなのだと。

「普通感冒」って言えばいいのかと。

「いや〜、先週からオレのステージ(体内)で、ライノウイルスとコロナウイルスがごきげんなダンスを踊ってるぜ」

なんて、アメリカンジョーク的にいえば治るのかと。

 

そんな見えない敵に加えて体内の敵とも戦いながら、

なんとか仕事納めまで過ごしたのですが、一向に治らない。

ここはいっそ、実家に帰って静養するかと思ったのですが、

実家にはそこそこ高齢になった母がいる。

まだまだ元気な母だけど、やっぱりうつるかもしれない。

ならば、今は帰れない。

孝行息子としては、そこだけは譲れない。

「孫の顔が見たい」といっていた母。

そんな母から「孫はいいからお前が年を取ったときに寂しくないように誰かいい人を見つけて欲しい」と言われるぐらいの孝行息子でも、さすがにできない。

ちょっとそこ泣かないで。

泣きたいのは僕だから。

いや、本当に泣きたいのは母だから。

同情するならデートしてください。

というわけで、実家には帰らず単身者用マンションで一人新年を迎えたわけです。

 

 そんでもって、29日の休みから、30日、31日と寝込んでいたのですが、

ついに昨日、新年を迎えてしまいました。

そして、少し調子がよくなってきたところで食糧がなくなったためネットスーパーを頼む。

 

正直ね。元旦から申し訳ない気持ちでいっぱい。

だってさ。こんな元旦から配達の人に食料品を運ばせるなんて可哀想じゃない。

彼だって家族と一緒におせちを食べて、新春かくし芸大会を見て、

アキラ100%が130%くらいにオーバーしちゃったね」なんて言いながら

笑って過ごす元旦を迎えられたかもしれないのに、

僕が食糧品を頼んでしまったばっかりに、

その機会を逃してしまったかもしれないじゃない。

 

でもね。待って。

僕もそんな元旦過ごしてない。

ずっと寝てるだけでFacebookに投稿できるような楽しいイベントなんて何にもない。

いいね!もなければ絵文字もつかない。

どっちかというと地獄のミサワスタンプしか使えない。

となれば道連れよ!

オレはなる!鬼になる!俺は世界一の鬼になるぞー!!

と、気持ちを切り替えて食材を楽しみに待つ私。

 

 

午後になり、配達のお兄さんがやってくる。

「ピンポーン」

「はーい」

「ネットスーパーのお届けです〜」

「今でまーす」

といって、玄関の扉をあける私。

そこには桐谷健太似の配達のお兄さんが荷物を持って立っている。

 

しかし、桐谷健太は僕のことをジロジロ見ているだけで何も話さない。

あっ、ひげが生えてるからかな?

違う、違うよ、お兄さん。

僕はルークじゃない。

ルーク・スカイウォーカーじゃない。

数日寝込んでひげは生えてるけど最後のジェダイじゃない。

父であるダース・ベイダーを最後まで信じて、

見事ダークサイドからライトサイドに転向させた伝説のジェダイじゃないんだ。

フォースも使えなければ宇宙に行ったこともない。

ついでに言えば沖縄にだって行ったことない。

君がシスとの戦いに備えて修行をしたいっていっても、

僕には教えられることなんて何一つない。

もしあるとすれば、せいぜいお風呂場の鏡についた汚れをキレイに落とす方法ぐらいだ。

だって、僕は…僕は…ただの会社員だから。

ああ、行きたいな、沖縄……。

 

と、BGMに海の声を流しつつ、意識が沖縄に飛びかかったところで

桐谷健太が「お荷物お届けにきました」と声をかけてくれた。

よかった。戻ってこられた。

母さん、ジェダイは無事に帰還しました。

飛んでいった僕の意識が、危うく島んちゅぬの宝になるところでした。

ほっと胸をなで下ろしたところで、桐谷健太から商品を受け取る。

 

健太「ご注文の……ティッシュです」

ぼく「あっ、どうも」

健太「そして、こちらが……もう一つティッシュです」

ぼく「!?!?」

 

どうやらネットスーパーのお年賀がティッシュペーパーだったらしい。

ちょっと待って健太。

いらないよ、そんなにティッシュいらないよ。

男子中高生ならいざ知らず、僕はもう合計8箱という大量にティッシュをすぐに使い切れるような時代は過ぎてしまったんだ。

どうせなら、しっとりするティッシュをください。

いま僕に必要なのは潤いだ。

いろんな意味で潤いが必要なんだ。

と心の中でつぶやきながら無事にティッシュと大量の食糧をゲット。

 

勝てる、勝てるぞ。

たとえウイルスが、鳥取城攻めの羽柴秀吉クラスに残酷な兵糧攻めをしかけてきても、

これなら勝てるぞ!!

そう勝利を確信したとき、事件は起きた。

 

っ……痛いッ!腰が痛いッ!

息できないぐらい腰が痛いッ!

 

寝たきりで筋肉が硬くなっていたのか、

ちょっと動いただけで見事なぎっくり腰に。

いや、わかんないけど、たぶん、ぎっくり腰。

 

会社の人がよく「ぎっくり腰はつらい」なんて言うのを聞いてたけど、

正直なめてた。

体をくの字にしたまま全く動けない。

無理コレ、完全にヤムチャのポーズ。

栽培マンに「おれひとりでやってやる」と息巻いたヤムチャのように

「おれひとりでやってやる」と風邪ウイルスに戦いを挑んだ私がバカでした。

すまない…すまない、健太。

すべて私の責任だ。

沖縄にはひとりで行ってくれ。

那覇市にあるホテル『アメリカン』の511号室に絵が飾ってある。

その裏を探してみてくれ。

とっておきの泡盛が隠してある。

俺からのプレゼントだ。

 

しかし、僕の言葉は届かない。

健太にも哲也にも、

紀貫之にも小野妹子にも届かない。

 

ひとはいさ 心も知らず ふるさとは

花ぞ昔の 香ににほひける

 

そうして、僕のため息だけが、静寂に消えていった。

 

BGM:僕はここにいる/山崎まさよし

ロケ地:東京都